「魚を売るイネさん82歳」は、明治44年、北海道岩内生まれの勝見イネさんを中村ハルコが撮り下した作品です。
樺太で終戦を迎えたイネさんは、その後、小樽に引き上げ、幌向(ほろむい JR函館線 札幌から旭川方面40分の場所)まで行商をしながら3人の息子を育てあげました。
寒暖差の激しい北海道、その厳しい環境の下、早朝3時に起床し、魚の仕入れをスタートさせます。魚の入った重いダンボールを大きな風呂敷で包んで頼もしく背負い行商するイネさん。高齢ながらもしっかりとした足取りで歩く姿を、中村は、優しいまなざしを持ってカメラで捕らえました。
また、中村は、イネさんの言葉を拾い上げ、その言葉と写真を組み合わせて、イネさんの人生を浮き彫りにしています。
過酷な労働ともいえる行商で生計をたてながらも、日々出会う人々とのつながりを大切にして、自身の仕事に責任と誇りを持って、瞬時を大切に生きた勝見イネさん。そのかけがいのない時間をスライドショー形式でご紹介します。