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霊馬ムーバー
「精霊馬(しょうりょううま)」とは、きゅうりやナスなどの野菜と割り箸などの棒で作られるお盆の供え物の一つである。故人の霊魂がこの世とあの世を行き来するための乗り物として作られる。
作者の飯野哲心は、幼いころの夏、帰省した祖父母の家で初めて精霊馬を見た。シュールなビジュアルの衝撃は、時が経っても、作者の頭の中に残り続け、「実際に精霊馬に人(先祖)が乗っている姿が見たい」という好奇心からこの作品が生まれた。当初は巨大な彫刻作品として制作されたが、精霊馬に乗る鑑賞者と様々な会話が生まれることから、作品はコミュニケーションツールとして発展していった。
またこの作品は、100円を入れると、動く。「鑑賞者は作品に乗って、三途の川を渡るのに必要な六文銭硬化の替わりの硬貨を投入し機械を作動させ、自分が死んだ後の世界についてや、お盆に子孫に送られることを想像してもらいたい。」と作者は語る。
PROFILE
飯野哲心
いいのてっしん
1981年 東京都八王子市生まれ
2008年 金沢美術工芸大学大学院 修士課程 彫刻専攻 修了
2016年 東京藝術大学大学院 博士後期課程 先端芸術表現科 入学 現在在学中
少年の持つ、「カッコイイ」と「おバカ」への憧れと好奇心を作品化する美術家。
2016・17年のオハラ☆ブレイクへも、はじまりの美術館より参加。